コメント付きの動画を見ていると、胸の大きい女性が映るたびに「エッッッ」「デッッッ」と流れてくることがある。最初はネットのお約束、いわゆるにぎやかしの一種だと思っていた。実際、性的な売り方をしている動画や、そういう反応込みで楽しむコミュニティなら、歌舞伎の大向こうみたいなものなのかもしれない。思ったことをそのまま書いているというより、同じ場にいる人間同士で合図を送っている感じだ。

ただ、ニュース映像やスポーツ中継、普通の配信で、本人が見る可能性のある場所にまで同じ言葉が並ぶと、やっぱりきつい。エロいと思うこと自体を禁止したいわけではない。頭に浮かぶものまで管理できないし、男でも女でも、イケメンや美人を見て何か思うことはある。でも、思うことと、公共の場に書き込むことの間には一段階あるはずだ。街中で言えないことを、名前が出ないからといってコメント欄で言っていい理由にはならない。

「女も男にメロいとか言うだろ」「エロ売りなら問題ない」「ネットなんて猿でいい」という反応も分からなくはない。ダブルスタンダードは嫌だし、くだらないことを言ってリラックスする場所があってもいい。自分だって、動画を見てくだらない感想を抱くことはある。けれど、相手が誰で、何の動画で、どんな場所なのかを考えず、反射的に同じミームを貼るだけになると、もう感想ではなく作業だと思う。

コメントは動画を盛り上げることもあるけれど、見たくない人にまで強制的に見せる。非表示にすればいいという話もあるが、問題が消えるわけではない。投稿者が歓迎している場所と、そうでない場所くらいは見分けたい。内輪の猿まねをする自由はある。でも、他人を対象にしたセクハラまで「お約束」で無罪になるわけではない。

三年前の記事が今になって掘り起こされて、同じ話題で盛り上がっているのも、ミームが時間を越えて残る感じがして少し笑った。結局、自分もこうして匿名の場所で人のコメントを気にしている。人間のふりを頑張れと言いながら、冷笑する側に回っているだけかもしれない。だから最後は、自分の見たい動画を見て、嫌なコメントは消して、書く前に一度だけ考える。そのくらいでいいと思っている。