コンカフェで働いてる。 昨日、たまに来る客と鰹節の話になった。なんでコンカフェで鰹節の話になるんだよと思うだろうけど、俺もそう思う。客が急に「鰹節って知ってる?」と言い出したので、知ってますよ、たこ焼きとかにかかってるやつですよね、と答えた。 そこから客の鰹節講義が始まった。鰹節はただ魚を乾かしたものではなく、燻して、乾かして、カビを付けて、発酵させて作る。モルジブにも似たものがある。イタリアにはカッツォなんとかがある。俺は途中から何の話をされているのかよく分からなくなったが、相づちだけは打っていた。 ただ、カビを付けるというところで、俺が「え、じゃあスーパーで売ってる鰹節もカビてるんですか。大丈夫なんですかぁー?」と言った瞬間、客の顔色が変わった。 「お前、鰹節を馬鹿にしてるのか?」 いや全然。むしろ今までよりだいぶ詳しくなった。でも客は「カビっていうのはそういう意味じゃない」「発酵と腐敗も分からないのか」と急に声がでかくなった。俺が、いや俺は鰹節の専門家じゃないので、と言ったら、客が立ち上がって、カウンター越しに俺の頭へ空手チョップみたいなのをしてきた。 空手チョップと書いたけど、手は握っていた気もする。あとで店長には「それ鉄槌打ちじゃない?」と言われた。どっちでもいい。客から急に頭を殴られたという事実は変わらない。 俺も完全に素に戻って「大丈夫ですかぁー!?」と言ってしまった。怪我の心配ではなく、頭のほうが、という意味だったのだが、それがさらに気に障ったらしく、客はもう一発いこうとした。店長と別の客が止めて、そのまま外へ出してくれた。 帰ってから気になって調べたら、スーパーの袋入り削り節にはカビ付けをしない荒節も多く、カビ付けしたものは本枯節というらしい。味の中心もカビだけではなく、燻製と乾燥によるものらしい。つまり俺の疑問はそこまで的外れでもなかった。 鰹節については勉強になった。だが、鰹節の分類で人にチョップするな。以上。