dアニメの新作アニメランキングを眺めていたら、予想していたよりだいぶ変な並びで笑ってしまった。いや、変というのは作品が変という意味ではない。ランキングとして、普段アニメの話をしている場所で見かける熱量とぜんぜん一致していない。
今期は、放送前から名前をよく見た作品や、配信開始直後に感想が大量に流れてきた作品がいくつかある。けれどdアニメの上位には、そういう作品ばかりが並ぶわけでもない。ちょっと前の話数まで見た人が惰性で再生していそうな作品、なんとなく軽そうで押されていそうな作品が強い。もちろんそれは悪口ではなく、サービスの使われ方がそのまま出ているのだと思う。
自分も、ランキング上位だからといって全部を追っているわけではない。仕事や家事の合間に一本流すなら、画面をずっと凝視しなくても話が入ってくるものを選びがちだ。台詞で状況を説明してくれる、人物関係が早めにわかる、見逃しても次回までには戻れる。その条件で選ぶと、タイトルだけで敬遠していたタイプの作品を意外と最後まで見ていたりする。
これはたぶん、ドラマを見ながら「説明が足りない」と言っている人の気持ちと近い。集中して観る作品と、生活の隙間に置く作品は別なのだ。前者では凝った構成や余白が楽しいのに、後者で同じことをされると洗濯物を畳んでいるうちに話がわからなくなる。ランキングは作品の優劣表ではなく、そのサービスをどんな時間に開く人が多いかの表なんだろう。
それにしても、媒体ごとの差は面白い。最速で見たい人が集まる場所、コメントと一緒に騒ぎたい人が集まる場所、地上波と同じ時間に見る場所、それぞれで上位が違う。同じ今期アニメでも、ある場所では話題作が圏外で、別の場所では一位だったりする。ニコニコのランキングにだけ妙にしっくりくる作品があるのも、たぶんそういうことだ。
個人的には「猫と竜」はもっと見られてほしい。派手な導入で一気に掴む作品とは違うけれど、積み重ねで効いてくるエピソードが多い。アニメであの場面を見たい、ここまでやってくれたら次も期待できる、という気持ちになる。二期を望む声が出るのもわかる。
「手札が多めのヴィクトリア」も、ランキングの位置だけを見ると少しさびしい。主人公が何を持っていて、どこまで使うのかを眺める楽しさがあるし、キャラクター同士の距離の詰め方もいい。タイトル表記はどちらでも通じるのに、検索するときだけ少し迷う。こういう細部まで含めて、作品を追う側には妙な愛着が生まれる。
逆に、タイトルだけで見る気が起きないものが多いという感想も理解できる。いかにも長い説明文風の題名や、設定を先に全部渡してくる感じが苦手な人はいる。自分も何度も「これは合わなそう」と思ってから見て、普通に面白かった経験がある。それでも新作が一斉に並ぶ時期には、第一印象で候補を減らさないと時間が足りない。
「これ描いて死ね」や「令和のダラさん」みたいに、知っている人が熱心に勧めているのに総合順位には反映されにくい作品もある。作品の評価と再生数の勢いは一致しない。短時間で何本も消費される作品、毎週じっくり待たれる作品、話題になってからまとめて見られる作品では、同じ順位という物差しがそもそも雑すぎる。
あと、二期目や分割二クール目の作品を新作ランキングでどう扱うのかも難しい。新規の人には今期の一本に見えるけれど、前から見ている人には続きでしかない。お気に入りに入っていないから一話切り、という読みもできるが、配信のタイミングや視聴履歴の整理の仕方でも変わる。数字から気持ちを断定するのは危ない。
結局、ランキングを見るいちばん楽しい方法は、自分の感想が世間の代表ではないと確認することかもしれない。「なんでこれが上?」と思ったあとに一話だけ見てみると、なるほど作業中に流しやすいな、とか、コメントがあると化けるな、とか理由が見える。今期もまだ途中だし、最終回の頃にはまったく違う順番になっていそうだ。