近所のカラオケ屋に行ったら、ちょっと変なおじさんがいた。
平日の昼間で、店内はかなり空いていた。受付を済ませて廊下を歩いていたら、ひとつだけドアが開きっぱなしの部屋があった。通り過ぎる時に見えたんだけど、室内は電気が消えていて、モニターもついていない。歌っているわけでも、電話しているわけでもなさそうだった。
その薄暗い部屋の床に、新聞紙が何十枚も広げてあった。ソファの前だけとかではなく、見える範囲がほとんど新聞紙だった。その真ん中に、おじさんが靴を脱いで座っていた。年齢はよく分からないけれど、仕事帰りという感じでも、学生の親御さんという感じでもない。
そしてコンビニ弁当を食べていた。
弁当を持ち込むこと自体は、持ち込み可の店なら別にいいと思う。この店もたぶん大丈夫なんだろう。カラオケを歌わず、休憩や仮眠に使う人がいるのも分かる。最近はそういう使い方も珍しくないらしいし、お金を払って部屋を借りているなら、こちらが口を出すことでもない。
ただ、新聞紙を敷き詰めて、電気を消して、ドアを開けたまま弁当を食べている、という組み合わせが怖かった。何のために新聞紙を敷くのか分からない。床を汚さないためならむしろ几帳面なのかもしれないし、これから寝るために下に敷いているだけかもしれない。でも次に何をするのか想像できない感じがして、目を合わせないようにして自分の部屋へ入った。
追記。 昼ではなく夕方前くらいだった。店員さんに何か言われている様子もなく、私が帰る時にもまだ同じ部屋にいた。ドアはずっと開いていたと思う。部屋の中を覗き込んだわけではなく、廊下を通るたびに見えてしまっただけ。
「迷惑おじさん」みたいに書いたのはよくなかった。実際に迷惑をかけられたわけではないし、ただ私が不気味に感じただけだった。カラオケ屋は歌う以外にも使える場所なんだろうし、新聞紙にも本人なりの理由があるのだと思う。でも、暗い部屋の床一面に新聞紙、という光景だけは、どうしても頭に残っている。