高市さんが首相になってから、はてなを見る機会が減った。
別に、政治そのものに興味がなくなったわけじゃない。むしろ就任直後はかなり見ていた。初の女性首相ということで、これまでとは何かが変わるのではないかと思っていたからだ。
女性がトップに立つ。しかも、長いあいだ男性ばかりだった場所で、男性とは違う経験や視点を持った人が意思決定をする。それだけで、少なくとも女性に関する制度や、家族のあり方、働き方について、少しは前に進むのではないか。そういう期待があった。
でも、実際に見えてきたものは、自分が思っていた「女性の代表」とはずいぶん違った。夫婦別姓には否定的で、女性天皇にも否定的。女性が生きやすくなるための政策を進めるというより、古い家族観や、男社会のルールを守る側に見える。忙しく働いていることや、家庭のこともやっていることを強調する姿も、女性に寄り添っているというより、「女だけど男たちの望む女です」と証明しているように感じてしまう。
そこで、自分の中にあったものに気づいた。
自分は「女性なら女性の味方であるはず」「男性中心の社会に異議を唱えるはず」と、かなり単純な物語を信じていたのだと思う。女性であることを、ひとつの政治的立場と同じものとして見ていた。だから、その物語に合わない女性が出てくると、裏切られたような気持ちになった。
でも、女性だから同じ考えになるわけではない。女性の中にも保守的な人はいるし、男性の中にも夫婦別姓やジェンダー平等を支持する人はいる。性別だけで味方と敵を分けることはできない。問題は「男が悪い」「女なら正しい」という話ではなく、どんな制度や価値観が人を縛っているのか、誰が得をして誰が不利益を受けているのか、ということなのだろう。
高市さんを見て絶望したというより、自分が勝手に作った期待が崩れたのだと思う。女性首相が誕生したこと自体は歴史的な出来事だし、それを喜ぶ人の気持ちもわかる。ただ、女性が首相になったからといって、女性の権利が自動的に守られるわけではない。そこを混同していた。
はてなを見ていると、違う意見の人をすぐに敵か味方かに分類する空気が強くて、最近は疲れてしまった。自分もその空気の中で、見たい意見だけを拾い、納得できないものを「敵」として処理していたのだと思う。
だから、しばらくは政治の話から離れようと思う。はてなを完全にやめるかはわからないけれど、少なくとも、ここで誰かを論破したり、自分の正しさを確認したりするために見るのはやめる。
追記。
いろいろコメントをもらって、少し考え直した。自分は「女性だから味方だと思っていたわけではない」と言いたかったのだけど、読み返すと、結局は女性という属性にかなり期待していたのだと思う。
高市さん個人の政策や発言を見て判断すればいいだけなのに、「初の女性首相」という出来事に意味を持たせすぎていた。女性の権利を守る人であってほしい、古い政治を変える人であってほしい、という物語を先に作って、その物語に合う情報ばかりを見ていた。
女性の中にもいろいろな人がいる。当たり前のことなのに、当事者性を過大評価していた。女性であることは、政治的な正しさの証明にはならない。
とはいえ、だからといって「女性首相が誕生しても意味がなかった」と言いたいわけではない。意味はある。ただ、その意味を政策や社会の変化につなげるのは、別の話だ。
自分の中では、ひとつの物語が終わった感じがしている。しばらくは、誰が男で誰が女かではなく、何を言い、何をしているのかを見るようにしたい。できるかどうかは、まだ自信がないけれど。