ふと気になった。

ウルトラマンは、なぜ生身で怪獣を倒せるのか。

いや、正確には「生身」と呼んでいいのかがまず怪しい。人間の感覚だと、服も鎧も武器も持たず、全身タイツのような姿で怪獣に飛びかかっているように見える。しかし、スペシウム光線を撃てるし、八つ裂き光輪も出せるし、空も飛べる。そんなものを人間の裸と同じカテゴリーに入れる方が無理がある。

そもそもウルトラマンは地球人ではない。光の国や別の星の、宇宙空間に耐えられる知的生命体だ。人間が寒さや日差しを防ぐために服を着るように、彼らにとってはあの姿そのものが皮膚であり、鎧であり、武器の発射装置なのかもしれない。生身で光線兵器を内蔵している、と考えれば、熊どころか普通の人間に負ける方が不思議になる。

人工太陽やプラズマスパークの影響で、あの種族が超人化したという話もある。元が人間に近い姿だったとしても、長い時間をかけて別の生物になったのなら、我々のいう「生身」とは意味が違う。人間がハムスターから見れば怪獣に見えるようなものだろう。大きさも違えば、筋力も耐久力も違う。同じ体重の格闘家同士でさえ戦力が拮抗するのだから、何十メートル級の超生命体と怪獣が殴り合っていても、本人たちにとっては相応の格闘戦なのかもしれない。

逆に、怪獣の方も生身である。火を吐いたり、電撃を出したり、宇宙から飛んできたりする。つまり「生身の熊が人間を倒すのは変ではない」という話と同じで、単純にウルトラマンの方が強いだけだ。人間が銃を持っても熊に襲われることがあるのだから、光線を撃てるウルトラマンが怪獣と戦うくらいは、宇宙では普通なのだろう。

ただ、あの姿が本当に裸なのかは気になる。カラータイマーは生まれつきの器官なのか、人工物なのか。あれがスーツなら、どこからどこまでが装備なのか。ウルトラセブンのように甲冑のイメージがある者もいるし、背中にファスナーがあるように見える者もいる。成田亨が縫い目のない異星人の服を参考にした、という話まで考えると、あれは服ではあるが、人間の服とは別種のものなのかもしれない。

結局、ウルトラマンに「なぜ服を着ないのか」と尋ねること自体が、人間の常識を宇宙人に押しつけている。生身で空を飛び、宇宙を移動し、腕から光線を出す種族に服が必要かどうかは、もう服を着ていない我々の方が異常なのかもしれない。

それでも、シュワッチのポーズでどうやって飛んでいるのか、カラータイマーがなぜ三分で点滅するのか、ビルを踏んだら足の裏は痛いのか、夏は暑くないのか、という疑問は残る。宇宙の謎は深い。