最近、「犬も歩けば棒にattack」という言い回しを思いついた。

「犬も歩けば棒に当たる」の「当たる」と、英語の attack をかけたつもり。意味が完全に対応しているわけではないし、英訳として正しいのは hit のほうだろう、というのは分かっている。でも、棒にアタックする犬の絵が浮かぶし、なにより「棒にアタック」の語感がいい。出オチではある。

こういう、日本のことわざの一部だけ英単語に置き換える遊びが好きだ。ルー語に似ているけれど、ルー大柴のように文章全体を英語っぽくするというより、ことわざの中に突然ひとつだけ妙な単語を混ぜる感じ。たとえば、

「石の上にも残念」 「悪事 runs a thousand miles」 「おばあちゃんの知恵 bag」 「鬼に金 bar」 「壁に耳あり障子に Mary」 「いつまでもあると思うな親と Money」 「地獄で hot cake」 「馬子にも fashion」 「馬の耳に prayer」 「一寸先は yummy」 「河童の Ophelia」 「二階から grizzly」 「触らぬ神に祟り Nothing」 「仏の顔も sand bag」 「急がば turn」 「窮鼠猫を Bite」 「三人寄れば文殊の Wisdom」 「鬼の居ぬ間に laundry」

など。こうして並べると、ことわざの意味を英訳しているというより、音や見た目を雑に合わせているだけのものも多い。そこが面白いところだと思う。

「猫に coin」「泣きっ面に wasp」「弘法も筆の mistake」「捕らぬ狸の Skin calculation」あたりも好き。「やぶから STICKS」「のれんに PUSHES」「ぬかに NAILS」「寝耳に WATER(晴天の THUNDER)」まで来ると、もう何を翻訳しているのか分からないけど、勢いはある。

ただ、「犬も歩けば棒に attack」については、attack は攻撃だから「当たる」なら hit だろ、と言われそうだ。実際その通り。でも hit にすると「犬も歩けば棒に hit」で、意味は近くても語感が普通すぎる。アタックだからこそ、犬が棒へ向かっていく感じが出る。

こういうのは正確さよりも、元のことわざが一瞬だけ別のものに見えることが大事なのだと思う。意味と語感が両方きれいに合う例は少ないし、むしろ少しずれているほうが、見た瞬間に笑える。

そういえば、英語だけでなく、ドイツ語っぽい表記や、妙に凝った字体を混ぜる遊びもある。「泥棒捕らえて縄を now」とか、「泥棒は Tüdüẁan の Bruš」とか。字体まで変えると、ことわざが急に異国の格言みたいになる。

昔からこういう駄洒落は好きだった。ルー大柴でいえば「ポテト焼酎」が一番面白いと思っている。意味のつながりがあるようでなく、音だけが妙に堂々としているやつ。

なので、正しい英訳を求めているわけではない。「犬も歩けば棒に hit」のほうが正しい、という指摘は受け入れつつ、私は「犬も歩けば棒に attack」を推したい。犬が歩いて、棒に出会って、そしてなぜか攻撃を始める。ことわざの教訓からは遠ざかっているが、絵としては分かりやすい。

次は「前門の tiger、後門の buffalo」あたりを使ってみたい。ことわざというより忍者の格言みたいになっているけれど、それもそれでいい。地球と風と fire。意味は分からないが、たぶん強い。