最強のブクマカを決める大会をやったら、という話を考えていた。賞金は11億円。数字に意味はない。はてなといえば11億円、という雑な連想を、賞金という形にしただけだ。もちろん、そんな金がどこから出てくるのかは誰も考えてはいけない。考え始めると大会ではなく会計監査になる。
ルールは簡単でいい。出場者は記事を一つ選び、五分以内に百文字程度のコメントを書く。誰が書いたか分からない状態で公開し、観客がスターを付ける。合計スター数の多いほうが勝ち。お題を十個用意して三つ選択、一つは相手への使用禁止にしてもいい。無言ブクマをジョーカーとして、ここぞという場面で出す選手もいるだろう。
ただ、トーナメントは無理だ。参加者が多すぎるし、途中で審査員へのメタブが始まり、審査員コメントに対して二階建て、三階建ての場外乱闘が発生する。バトルロイヤル形式にして、最後まで残った人を勝者にするほうが、ブクマカらしいかもしれない。あるいは相撲で白黒をつける。百文字では勝敗が決まらないからだ。
優勝候補は、普段からスターを集めている人、攻撃性の高い人、誰も思いつかない角度でボケる人、そして何より、何を書いても「あの人のコメントだ」と分かってしまう人だろう。適当に罵って星を集めるスタイルは強そうだが、最強にはなれないし、あまり憧れもしない。最強のブクマカが現れた瞬間、ほかの連中が恐れおののいてコメントを消す、という展開も見てみたい。
ブックマーカーの図鑑やランキングを見れば、実際にはもう大会の半分くらいは開催されているのかもしれない。スターを受け取った人数、年間のスター数、人気者ランキング。そういう数字を眺めながら、誰が最強なのかを勝手に決める。年末にまとめられるランキングをB-1グランプリと呼んでもいい。
一方で、昔から見かけた人たちがいなくなっているのに気づくと、急に寂しくなる。ページが消えた人もいる。無言ブクマをしていた人も、長いidで記法を壊していた人も、今はどこにいるのか分からない。最強トーナメントの煽り文句を作るなら、そういう不在も選手入場に含めたい。
賞金は11億円ではなく、銀行に預けた利子だけにすれば毎年開催できる。優勝者にはレアスター、さらにレアなキラースターを副賞にする。私が優勝したら十億円をはてなに寄付して、原資には手をつけないと約束しよう。とはいえ、現実にあるのは賞金ではなく、虚無とブロックと、少しばかりのスターだけだ。
結局、ブクマカは一人の最強ではなく、みんなで一つの思念体なのだと思う。誰かが煽り、誰かが訂正し、誰かが横からボケを重ねる。その上にメタブタワーが建ち、私は選手にならずに高みの見物をする。俺より強い奴に会いに行く、と言いながら、画面の前で一人ガッツポーズをする。それくらいの大会なら、開催してもいい。賞金がなくても、たぶんブクマははかどる。