はてなパークスはどうすべきだったか?
まだ始まったばかりのサービスに対して、もう反省会を始めるのは早すぎる、というのはその通りだと思う。ただ、トップページを開いて最初に「ここで何をすればいいんだろう」と感じてしまうサービスは、初動が大事なネットサービスとしてかなり厳しい。
パークを見ても、スレッドを立てればいいのか、既存のスレッドに書き込めばいいのか、誰かと会話する場所なのか、ひとりごとを書き捨てる場所なのかが、ぱっと見では分からない。ひと通り説明を読んでから参加するものなのかもしれないが、利用者に「まずROMれ」と要求するには、まだ見たいものが少なすぎる。人がいないからコンテンツが増えず、コンテンツがないから人が書き込まない、という一番つらい状態になっている。
こういうサービスは、開設初期には運営が自分で大量に書き込んで、まず「ここでは書いていいんだ」という空気を作るものだと思う。公式で記念書き込み用のスレッドを用意して、チュートリアルの中で「記念パピコ」とでも書かせればいい。筋トレでも日記でも独り言でも、とりあえず参加できる導線が必要だった。
Moutonも、今のところ書き込みを促すというより、同じような案内を繰り返している印象が強い。Aについて語るスレッドで盛り上がっているなら、「Aのスレッドも立ててみたら?」と何度も言うのではなく、そこから実際に関連スレッドを作るとか、既存の話題をうまくまとめるとか、利用者が次に何をすればいいかを具体的に示してほしい。羊のモチーフ自体は穏やかで悪くないのだけど、全員が同じ羊アイコンというのは、顕名なのか匿名なのかも含めて少し不思議だ。
そもそも、はてなが何を作りたかったのかがよく分からない。Redditのようなテーマ別のフォーラムを目指すのか、Xのような日常のつぶやきの場なのか、はてなハイクのようなゆるい交流の場なのか。全部を少しずつ入れようとしているように見えるが、利用者からすると「何をするサービスなのか分からない」になってしまう。
個人的には、はてなブックマークの延長線上にあるサービスの方が自然だったと思う。ブックマークで話題になっている記事から自動的にスレッドを作り、そこでは文字数制限なく書ける。議論を深めることを目的にしてもいいし、各自が好き勝手に意見を書いて平行線のまま終わってもいい。はてなの良さは、必ずしも議論がまとまることではなく、いろいろな人がいろいろな方向から同じ話題を眺めているところだと思う。
ただし、その方向にするなら、今の名義のままでは厳しい気もする。いろいろなテーマについて他人と絡むなら、ルームごとにプロフィールを変えられる方が参加しやすい。全体で同じIDを使う顕名コミュニティは、書き込むたびに自分の過去ログや普段の立場を意識してしまう。ひとりごとならともかく、赤の他人と会話するにはコミュニケーションコストが高すぎる。
逆に、はてな民向けにもっと殺伐とした討論の場を作るという手もあった。今の利用者層がモヒカン族ばかりなのに、ほのぼの情報共有コミュニティを目指すのは、さすがに無理がある。政治やスポーツや宗教など、揉めやすい話題を禁止して穏やかにする考え方もあるが、そこまでして作るなら、最初から穏やかな人が集まる仕組みを用意しておくべきだった。
AIを盛り上げ役に使う案も出ているが、これはかなり慎重にやる必要がある。AIのアカウントが書き込みの呼び水になる可能性はある一方で、人間が書く前にAIが何でも埋めてしまえば、「自分が書かなくてもいい」という空気になる。サクラがいることを隠すのは論外で、やるならAIであることを明示して、AIと人間のやり取りそのものをコンテンツにするくらいでないと納得されないだろう。
必要なのは、立派なコンセプトよりも、最初の数分で楽しさを体験できることだと思う。見やすいスレッド一覧、人気の話題への導線、通知、スターのような軽い反応、人気ブックマークとの連携。そういう小さな仕掛けがあれば、書き込んだり返信したりする理由が生まれる。
はてなハイクには、良くも悪くも、もう少しゆるく参加できる雰囲気があった。パークスにも、避暑地のようにギスギスしたSNSから逃げてきた人が、壁に向かって独り言を言うくらいの気軽さがあればいい。今はまだ、楽しいことをしたい人が、どこで何をすればいいのか分からない。そこを運営が用意できるかどうかが、サービスの成否を分けるのだと思う。
まあ、始まったばかりなので、これから人が増えれば自然に回り始める可能性はある。とはいえ、人を集めることこそが一番難しい。はてなの名前だけで人が来る時代ではないのだから、せめて名前を見ただけで、何をする場所なのか分かるサービスにしてほしかった。