テクノをもっと知ってほしい。そう思って、まずは人におすすめしやすい曲を10曲選んでみた。
ただ、最初に言っておくと、ここでいう「テクノ」はかなり広い。デトロイト・テクノだけを指す人もいるし、テクノポップやエレクトロニカ、ビッグビート、トランスまで含めて電子音楽全般のように使う人もいる。正確なジャンル分けを始めるときりがないので、今回は「テクノっぽい電子音楽」くらいの気持ちで聴いてほしい。
1. YMO「Technopolis」
日本のテクノポップから一曲選ぶなら、やっぱりこれ。機械的で無機質なのに、妙にポップで耳に残る。テクノという言葉を知らない人でも、どこかで聴いたことがあるかもしれない。クラフトワークや細野晴臣の流れも含めて、電子音楽の歴史を感じられる曲だと思う。
2. Derrick May「Strings of Life」
デトロイト・テクノの代表曲。ピアノのフレーズが入るので、いわゆる無機質なテクノのイメージとは少し違うかもしれないが、フロアで鳴ったときの高揚感がすごい。テクノとハウスの境界を考え始めるとややこしいけれど、まずは細かいことを気にせず聴いてほしい。
3. Underground Resistance / Galaxy 2 Galaxy「Hi-Tech Jazz」
ジャズのような自由さと、機械的なビートが同居している。デトロイト・テクノの精神性が分かりやすい一曲だと思う。音数は多いのにうるさくなく、夜に大音量で聴くとかなり気持ちいい。
4. Underworld「Rez」
テクノに興味がない人にも比較的すすめやすい曲。単純なフレーズが少しずつ変化しながら延々と続き、気がつくと音の中に引き込まれている。アンセム的な盛り上がりをテクノに求めない人もいるだろうが、入口としては非常に強い。
5. The Chemical Brothers「Do It Again」
ロックやヒップホップが好きな人にも届きやすい、分かりやすく勢いのある電子音楽。厳密にはビッグビートやエレクトロニック・ロックと呼ぶべきなのかもしれないけれど、こういう曲からクラブミュージックに入っていく人は多いはずだ。ジャンルの正しさより、まず身体が動くかどうかで聴いてほしい。
6. Daft Punk「Technologic」
声と機械音の組み合わせが印象的な一曲。ミニマルな反復なのに妙にキャッチーで、電子音楽の面白さがすぐに伝わる。Daft Punkは「Human After All」から選ぶのもかなり良いと思う。ポップで聴きやすいが、音の作りはしっかり尖っている。
7. Aphex Twin「Xtal」
テクノというよりIDMやエレクトロニカに分類されることが多いと思うが、電子音楽への入口としては外せない。細かく揺れる音と、夢の中みたいなメロディが美しい。激しく踊るための音ではないけれど、ヘッドホンで聴くと音の配置がよく分かる。
8. Jeff Mills「The Bells」
硬くて速くて、ひたすら前に進む。テクノの持つ推進力を知りたいならこれ。曲単体で聴いてもかっこいいが、DJミックスの流れの中で突然入ってくるとさらに印象が変わる。Jeff Millsなら「Changes of Life」もおすすめ。
9. Ken Ishii「Extra」
日本のテクノを一曲入れるなら、Ken Ishiiは外せない。音が整理されていて聴きやすいのに、冷たさとスピード感がある。ゲームや映像との相性もよく、テクノが単なるBGMではなく、空間そのものを作る音楽だと分かる曲だと思う。
10. Orbital「Halcyon + On + On」
最後は少し穏やかな曲で。浮遊感のある音が長く続き、派手な展開がなくてもじわじわ効いてくる。Orbitalなら「Chime」や「Nothing Left」も好きだが、初めて聴くならこの曲が入りやすいと思う。
以上の10曲。もちろん、これだけでテクノを知ったことにはならないし、選べなかった名曲も山ほどある。Kraftwerk、808 State、LFO、Hardfloor、The Prodigy、電気グルーヴ、石野卓球、KAGAMI、Basic Channel、Planetary Assault Systemsあたりも聴いてほしい。
それに、テクノは曲単位よりもDJミックスやライブで聴いたほうが魅力が伝わることも多い。数分の曲として完成しているというより、前後の曲とつながって、フロアの空気や身体の動きまで含めて成立する音楽だからだ。
ジャンル名について細かく言えば、これはテクノではなくハウス、これはトランス、これはビッグビート、これはテクノポップだ、という話になる。たぶんその指摘は正しい。でも、最初から分類表を渡されても音楽は好きにならない。まずは気になった曲を聴いて、そこから似た音を探していけばいい。
最近の音を全然入れられなかったのは反省している。今回は自分が通ってきた古い曲中心になってしまったので、現行のテクノについては詳しい人に教えてほしい。おすすめがあればぜひ知りたい。