若い世代を呼び込みたい地方自治体がアピールすべきことは、自然の豊かさでも、子育て支援の手厚さでもなく、「都会でできることが、都会より安く、面倒なくできる」だと思う。
まず、自治会への加入を必須にしない。地域の祭りや運動会、草刈り、回覧板、募金集めなどは、参加したい人だけ参加すればいい。自治会費を払ってもいいし、必要な作業は行政が業者に委託してもいい。子どもが地域行事に参加したいときだけ、親が連れていけばいい。
PTAも同じで、役員を全員に押しつけるのではなく、外注できるものは外注する。平日の昼間に集まって、よくわからない会議や集金をすることを前提にしない。共働きの家庭でも、子どもを育てながら無理なく暮らせる仕組みにする。
ゴミも、決められた場所まで持っていくのではなく、戸別回収にしてほしい。分別を細かくしすぎず、指定袋を買わせるならコンビニで普通に買えるようにする。近所の人に監視されながらゴミを出す生活を、若い人が好むと思っている自治体は少し考え直した方がいい。
もちろん、その分のお金が必要なのはわかる。税金が上がっても、自治会やPTAの役割を自分で引き受けるより、納得できる料金を払って済ませたい人は多いはずだ。地域活動をやりたい人を否定する必要はないが、やりたくない人に「それが嫌なら田舎に住むな」と言うなら、実際に都会へ行かれて終わりだと思う。
そして何より、地方には仕事が必要だ。東京と同じくらい稼げる仕事、車がなくても通勤できる交通、子どもが進学や就職で出ていかなくても済む学校と雇用。安い土地や広い家だけでは、人は移住しない。
地域のつながりが災害時や子育てで役に立つことも理解している。一人では生きていけないし、近所の人に助けてもらう場面もあるだろう。ただ、それを理由に、普段から長老の機嫌を取り、無償の雑務を引き受けることまでセットにする必要はない。
若い世代に来てほしいなら、「あなたたちが足りない人手を埋めてください」ではなく、「仕事も生活サービスも用意するので、住みたいように暮らしてください」と言うべきだ。地域活動に参加したい人が自然に参加できる、参加しなくても生活できる。そのくらいの選択肢があって、初めて移住先として検討されるのではないか。