技能実習生って、給料が安くて自由もなくて、まさに奴隷みたいな待遇で働かされているというイメージがあった。
でも実際に近所で見かける実習生の話を聞くと、手取りはともかく、寮が用意されていて食事も出ることがあるし、職場まで歩いて行ける。残業代がつけば、同年代の日本人よりまとまった金額を稼いでいる人もいるらしい。少なくとも、家賃や光熱費を払って、長い通勤時間をかけて働いている日本人と単純に給料の額だけを比べるのは違う気がする。
しかも同じ国の人が近所や同じ職場に何人もいる。休日に集まる場所もあるし、同郷の知り合いから紹介されて付き合うこともある。日本人の若者みたいに、仕事と家の往復で、休日は一人でスマホを見ているという生活ではない。
実習生の女性が若くして妊娠した、子供を何人も育てている、という話を聞くたびに、あれだけ働いていてどうしてそんな余裕があるんだろうと思ってしまう。日本では共働きでも、子育てにはいくらかかる、大学まで出すにはいくら必要だ、家を買うには、と考えているうちに、結婚や出産を先送りする人が多い。自分もそういう感覚に慣れてしまっている。
一方で、物価の違う国から来ているなら、日本の給料は本国よりかなり高いのだろうし、寮や食事があるなら生活費も少なくて済む。同郷の恋人が近くにいて、周囲にも子供を持つ人がいれば、「お金が十分に貯まるまで待つ」という発想にならないのかもしれない。
そう考えると、少子化の原因を単純に「若者に金がないから」とするのも違うのではないか。金がない昔の日本でも子供はたくさんいたし、今より貧しい国のほうが出生率が高い。結局、暇があるかどうか、出会いがあるかどうか、子供にどこまで金をかけるのが当然だと思っているかの問題なのかもしれない。
もちろん、技能実習生が本当に高給取りだと言いたいわけではない。そこから寮費や食費、送り出し機関への借金などが引かれているなら、実際の待遇はかなり厳しいだろう。契約と違う労働や、雇用主からの不当な扱いがあるなら論外だ。
ただ、外から見て「奴隷のような低賃金なのに、なぜ子供を作れるのか」と思った自分のほうが、生活や人間関係を金額だけで考えすぎていたのかもしれない。