ドリップバッグのコーヒーを飲もうとして、袋の説明に「熱湯170mℓ」と書いてあった。

これが毎回よくわからない。170mℓの水を先に量って、それを沸かすのか。そうすると沸騰させている間に少し蒸発するから、できあがる熱湯は170mℓより少なくなる。じゃあ多めに量って沸かすのか。でも「多め」が何mℓなのかはわからない。

沸騰したお湯を作ってから170mℓ量る方法もある。これはこれで、熱湯を計量カップに入れている間に冷める。せっかく熱湯を用意したのに、計っているうちにぬるくなる。いや、そんな数秒で味が変わるほど繊細なものなのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。そもそも熱湯って何度から何度までなんだ。

この話を知り合いにしたら、「普通に測って入れればいいんじゃない?」と言われた。いや、その「普通」が二通りあるよね、という話をしている。先に水を測る流派と、沸かした後のお湯を測る流派。どっちも一長一短があるから、みんなどうしているのか知りたかっただけなのに、「何がわからないのかわからない」と言われて、ああもういいわいいわ、私が悪かったわ、となった。

たぶん私は、共感してほしかっただけなんだと思う。「わかる、説明書の書き方ちょっと困るよね。私はこうしてるよ」くらいでよかった。それなのに、計量カップを買え、キッチンスケールを使え、カップに一度170mℓ入れて目印を覚えろ、という具体的な解決策が次々に飛んできた。いや、それはそうなんだけど。

しかもコーヒーの場合、粉やフィルターに吸われる分があるので、170mℓのお湯を注いでも170mℓのコーヒーができるわけではない。お湯の量なのか、できあがりの量なのかも説明には書いていない。湯温だって「熱湯」としか書いていない。91度なのか100度なのか、注いでいる途中で冷める分はどうするのか。

もちろん、実際には適当にやっている。濃かったらお湯を足せばいいし、薄かったら次に粉を増やせばいい。170mℓから数mℓずれたくらいで人生が壊れるわけでもない。キッチンスケールの上にカップとドリッパーを置いて、ゼロにしてからお湯を注げばいい、というのもわかる。

わかるけど、そういう話じゃなかったんだよな。何回やっても何回やっても、「普通に」と言われるたびに、普通って何だよと思う。